
箔押し印刷 版の種類と選び方ガイド
箔押し印刷において「版」は、印刷品質を左右する重要な要素です。本記事では、版の種類や特徴、選定方法、製作工程などをわかりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.箔押し印刷の基本
- 1.1.■箔押し印刷とは何か?
- 1.2.■箔押し印刷に使われる「版」の役割
- 2.箔押し印刷の版の種類
- 2.1.■ 真鍮版(しんちゅうばん)
- 2.2.■銅版
- 2.3.■マグネシウム版
- 2.4.■樹脂版
- 3.版の選び方と選定基準
- 3.1.■ 印刷数量に応じた選定
- 3.2.■ デザインの複雑さによる選定
- 3.3.■ 使用素材との相性
- 4.箔押し印刷 版の製作フロー
- 4.1.デザインデータの準備
- 4.2.版の素材選定
- 4.3.加工工程
- 4.4.仕上げと検品
- 4.5.納品とテスト
- 5.よくあるトラブルとその対策
- 5.1.■ 転写ムラやかすれ
- 5.2.■ 版の劣化
- 5.3.■ デザインとのズレ
- 6.箔押し印刷 版まとめ
箔押し印刷の基本
■箔押し印刷とは何か?
箔押し印刷とは、加熱した金属板などを用いて、金属箔や顔料箔を紙やプラスチック、皮革などの素材に圧着させる印刷技術です。この技術は、視覚的な高級感を演出するのに非常に効果的であり、商品パッケージや招待状、ロゴマークなどの装飾に広く利用されています。
この印刷方法は他の印刷技法では再現が難しい、メタリックな光沢や立体感を出せる点が特徴です。また、インキを使用しないため、にじみや乾燥時間の心配もなく、比較的安定した品質で仕上げることができます。温度と圧力の調整により、素材に合わせた繊細な表現が可能となるため、デザインの自由度も高く、幅広い分野での応用が進んでいます。
■箔押し印刷に使われる「版」の役割
箔押し印刷における「版」は、デザインの転写を行うための金属や樹脂製の型のことを指します。加熱された版を箔の上から押し付けることで、特定のデザインや文字を素材に正確に転写します。版は単なる形状の再現だけでなく、箔の圧着精度や仕上がりの質にも直結する重要な部品です。
正確な寸法と平滑性が要求されるため、版の品質によっては印刷の仕上がりに大きな違いが出ます。たとえば、凹凸が均一でない場合には箔が均等に転写されず、かすれや潰れが発生します。さらに、複雑なデザインや微細なパターンを正確に表現するためには、高精度な版製作技術が求められます。
箔押し印刷の版の種類
箔押しに使用される版には、用途や素材に応じていくつかの種類があります。それぞれに特徴があり、目的に応じて最適なものを選ぶことが大切です。
■ 真鍮版(しんちゅうばん)
真鍮は耐久性と加工精度に優れ、細かいデザインにも対応できるため、企業ロゴや繊細な文字表現に適しています。例えば、年間3万回以上使用される製品に真鍮版を採用し、長寿命がコストメリットにつながっています。
■銅版
銅は熱伝導率が高く、均一な温度で箔押しができることから、温度ムラのない美しい仕上がりを実現します。
■マグネシウム版
軽量で安価なため、小ロットや試作に向いています。横浜市のあるノベルティ制作会社では、展示会用の短期使用グッズにマグネシウム版を使い、短納期でコストを抑える運用をしています。
■樹脂版
柔らかくて軽量ですが耐久性は低いため、柔らかい素材への箔押しや短期用途に最適です。たとえば、子供向け文具の箔押しに樹脂版を利用しており、柔らかい紙にも適応しやすいという利点があります。
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版の選び方と選定基準
箔押し印刷に使用する版を選ぶ際には、いくつかの要素を考慮する必要があります。最適な選定を行うことで、コストの最小化と品質の最大化が両立できます。
■ 印刷数量に応じた選定
大量生産を行う場合には、耐久性の高い金属製の版が推奨されます。一方で、少量印刷や試作段階であれば、樹脂版や簡易な版を選ぶことでコストを抑えることができます。このように、数量に応じて適切な素材を選ぶことで、無駄な出費を防ぎ、効率的な生産が可能になります。
■ デザインの複雑さによる選定
細かい線や文字、装飾の多いデザインは、精度の高い金属製版でなければ再現が難しい場合があります。逆に、比較的シンプルなデザインであれば、樹脂製や簡易な素材でも十分に対応できる場合があります。用途に応じた判断が求められます。
■ 使用素材との相性
箔押しする対象の素材(紙、皮革、プラスチックなど)によって、使用すべき版の種類も異なります。熱に弱い素材に対して高温で圧を加えると変形や変色の原因となるため、素材に応じた温度設定が可能な版選びが必要です。
箔押し印刷 版の製作フロー
箔押し印刷に使う版は、次のような流れで製作されます。
デザインデータの準備
通常、Illustratorなどのベクター形式のデータが使用されます。
版の素材選定
印刷目的や数量、素材に応じて適切な素材を選定します。
加工工程
金属版であればエッチングや彫刻、樹脂版であればUV硬化や樹脂成形によって作られます。
仕上げと検品
微細な凹凸や寸法の誤差がないかを検査し、必要に応じて修正を加えます。
納品とテスト
実際の印刷機で試し押しを行い、問題がないかを確認したうえで本番印刷に進みます。
この工程において重要なのは、初期段階でのデザイン整合性と、最終段階での印刷テストです。どちらかが疎かになると、意図した仕上がりにならない可能性があります。
よくあるトラブルとその対策
箔押し印刷で起こる代表的なトラブルとしては、次のようなものがあります。
■ 転写ムラやかすれ
温度や圧力の設定が不適切な場合、箔がうまく転写されないことがあります。版の設計や加工精度に問題がある場合も影響します。
■ 版の劣化
長期間使用した版は、凹凸が摩耗してしまい、鮮明な印刷ができなくなることがあります。定期的なメンテナンスや交換が必要です。
■ デザインとのズレ
印刷機のセッティングが不十分な場合や、版と箔の位置合わせが不正確な場合、印刷内容が意図した場所からずれることがあります。印刷前の試し押しでの確認が重要です。
箔押し印刷 版まとめ
箔押し印刷における「版」は、印刷の仕上がりを左右する極めて重要な要素です。使用する版の種類によって、再現できる表現の繊細さや耐久性、コストに大きな違いが生まれます。たとえば、金属製の版は高い精度と耐久性が求められる大量生産に適しており、樹脂版はコスト重視の短期利用に向いています。デザインの複雑さ、印刷する素材、生産数量などを考慮して最適な版を選定することが、品質と効率の両立につながります。また、版の製作フローや発注先の選定も重要で、事前のテストや確認作業を丁寧に行うことで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。箔押し印刷においては、版の知識を持つことで、より効果的な印刷表現が実現できます。
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